第9章  魔法

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「わかったわマリア、私がアイツに言うわ。嘘なんかつくなって言うわ。」 「いいよ、由真。」   「いい、って、じゃあマリアどうするの? 」 「じゃあ由真、由真のお父さんと、俺の親父が同一人物だったら、由真はどうするの?」 「どうするって…」 二人の全てが止まってしまう。空白になってしまう。こんなこと… 「マリア、どこへ行くの? マリア、マリア…」  この部屋に二人でいるのは堪えられない気分だった。  由真が止めるのもきかず、マリアはツアー用にまとめていた荷物を持って部屋を飛び出した。  逃げたところでどうなるものでもない。何より、一体自分は何から逃げたいのか。  これまでのすべてを失う瞬間からか。  それとも忌まわしいかもしれない由真との関係か。  それとも…何もかもがZENNに操られてしまうという事実からか。  マリアにはわからなかった。
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