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「わかったわマリア、私がアイツに言うわ。嘘なんかつくなって言うわ。」
「いいよ、由真。」
「いい、って、じゃあマリアどうするの? 」
「じゃあ由真、由真のお父さんと、俺の親父が同一人物だったら、由真はどうするの?」
「どうするって…」
二人の全てが止まってしまう。空白になってしまう。こんなこと…
「マリア、どこへ行くの? マリア、マリア…」
この部屋に二人でいるのは堪えられない気分だった。
由真が止めるのもきかず、マリアはツアー用にまとめていた荷物を持って部屋を飛び出した。
逃げたところでどうなるものでもない。何より、一体自分は何から逃げたいのか。
これまでのすべてを失う瞬間からか。
それとも忌まわしいかもしれない由真との関係か。
それとも…何もかもがZENNに操られてしまうという事実からか。
マリアにはわからなかった。
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