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「テレビで見た時から思ってたけど、全然お父さんには似てないのね。ねえ、お父さんと自分と、どっちが女の扱いがうまいか知りたくない? 」
由真の母親はベッドに足を投げ出して座った。
「別に知りたくはありませんが…」
真実を知りたいと思えばこその我慢だった。
「俺が知りたいのは…その…」
「私は由真が憎いの。可愛いけど、憎まなくてはと思うのよ。」
彼女は真実を叫んでいるとマリアは直感した。それでそのまましゃべらせておいた。
「あの子を妊娠しなければ私は佐伯さんともっとつきあうことができた。その邪魔な子が自分ばかり…日本でも指折りのミュージシャンの愛人ですって? 世の中間違ってるわ。」
聞き返すのが怖くなって、マリアは彼女の次の言葉を待つしかなかった。
「親子二代で、私達親子をもてあそぶのはやめてちょうだい。」
「もてあそんでなんか、いないと思います。少なくとも、俺と由真は…」
「嘘よ。お父さんに輪をかけて綺麗で、昔と違ってお金にもなるミュージシャンのあんたに、ありとあらゆる女が群がっているのが私には見えるのよ。」
確かにそれは否定できなかった。東京では自粛していたが、地方でのつまみ食いは…
「金持ちの親がついているわけでもない、有名人でもない、なんの取り柄もない由真は、セックス付きの、タダ働きの家政婦にされているだけじゃないの。私は親として要求するわ。由真を返して。今までもてあそんだ慰謝料も払って。でなければ、裁判を起こすわ。由真を佐伯健介の子供と認めて、あんたが独り占めした遺産を半分よこすように…」
女の言うことは支離滅裂だった。しかし、マリアはその一つ一つを確かめるのが怖かった。
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