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「江波さん、てどんな人…って、こんな捨てた子、知ったことじゃないわよね。」
マリアの胸の中で、由真はすっかり母の言葉を信じたようだった。だが、マリアは、
「そんなことないよ。優しい人だから、奥さんの手前、何もできないだけだよ…」
などと言ってやりながら、由真の母を信じられない。かといって、他の確実な方法に訴えて、恐れていた結果が出たら…
子供さえ持たなければ、二人だけの罪だとマリアは思った。
その罪も、マリアは一人で背負おうと思った。
ZENNと連絡が取れたのは、その数日後だった。
自分はホテルの部屋で一人きりだし、ZENNは自宅なのだからと電話で説明しようとしたが、受話器の向こうの彼は、
―明日の夜、直接うちで話してくれないか。
の一点張りだった。まだ自分と寝ようとするのか…マリアは不快になった。
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