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「そうだ。お前もドームに立てばわかる。だからあの子と、結婚でも何でもすればいい。」
「今度は、結婚、ですか。そんなに他人の人生もてあそんで面白いですか。」
「もてあそべれば、よかったんだが。」
マリアを見据えるZENNは顔面蒼白だった。
意味ののみこめないマリアは尋ね返すようにZENNの顔を見つめるばかりだった。
「もう、お前、帰れよ。」
二度と来なくていい、と言いながらうつむいたZENNは、嗚咽をこらえているようだった。
「もうここに来る必要もないだろう。お前もドームが決まったんだ。俺の力を恐れる必要もないんだから。」
下を向いたままのZENNの声は、震えていた。
それを聞いた途端、マリアは胸を締めつけられ、すべてを理解し、愕然とした。
自分が自分にすら後ろめたく思いながらも望んでいたこと―ZENNの心に住み着きたい、彼に真剣に想われたいということ―が、叶っていたとわかった瞬間に終わろうとしているのである。
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