第9章  魔法

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「ZENNさん…」 「もう、いいから。」 そんなにZENNは由真の存在に嫉妬していたというのか。そんなに自分に執着していたというのだろうか。 しかし、マリアにはもうどうすることもできない。由真と別れるわけにはいかないのだ。 (ZENNさん…俺だって、ZENNさんという人にひかれたからここに来てたんです。 ZENNさんの権力に抱かれに来てたわけじゃない…) この言葉をマリアは伝えたかった。だがそれでZENNが癒されるわけもない。  大きなため息をつくと、ZENNは顔をそむけた。マリアは帰るしかなかった。  重いドアを閉めた瞬間、マリアの胸の奥の何かがぼろぼろと崩れ、苦くマリアの全身に広がっていった。
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