第10章  華と月

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 流行というものが大好きで、その流行も速いサイクルでとっかえひっかえしなくては気がすまない日本人。  それなのに一億人しかおらず、マーケットとしては小さいのである。  その中で、時代の半歩先を行きつつ、これまでのファンも納得させられるような王道パターンも踏まえた作品をつくるのは、並大抵の苦労ではなかった。  さらに、仁を初めとする優秀なスタッフを多数抱えながらも、帝国のトップはZENNなのだから、自分の巨大化したバンドを維持しつつ、社長、プロデューサーを務め続けなければならないことも、ZENNの神経をすり減らしていた。  その一方で、バンドは生き物といわれる通り、育てたバンドが失速することもあって、ギルティーの看板を守るのも大変だった。  そんな頃に出会ったのがMOONだった。  そのいきいきしたライヴに、ZENNは自分が失ったものを見せられた気がした。
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