第10章  華と月

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 冷静にスカウトの目で見ても、MOONはいいバンドだった。 アマチュアのくせに、曲のスケールが大きく、メジャーでも通用するセンスがあった。 五人全員ルックスがいいばかりでなく、スター性とでもいったものがもうすでにあった。 麗華からあらかじめ聞いていたこともあって、音楽の素養が人一倍だというマリアには注目していたが、ステージを見た限りでは他の四人とバランスが取れていていいとしか思わなかった。 ただ、何となく、容貌はシヴァと比べていた。 二人とも冷ややかな美貌なのだが、シヴァが意に染まない淫らな誘惑者をぴしゃりとはねのける美しさなら、マリアはそんな誘惑者を受け入れ、もてあそぶような美しさだと、ZENNは思った。  マリアのことが気になり始めたのはライヴの後、話し合いの時からだった。
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