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バンドに何かあっては、とマリアはびくびくしていたが、何ごともなかった。
そうなると、ZENNを失った痛みばかりがこたえた。
そんなある日、リハーサル前の楽屋でマリアは信じられないことを聞いた。
「ZENN社長が倒れたそうなので…みんなも体には気をつけて…」
「倒れた、って…」
思わずマリアは叫んでいた。村垣はそれに答えるように、
「詳しいことはまだわからないけど、夏のイベントもキャンセル、ダーリンのレコーディングは中断になったそうだ。」
胃のポリープと聞いても、マリア一人はそれを疑っていた。
仁から見舞いに行けると聞き、ツアーの合間に他のメンバーが行っても、二度と来るなと言われたとマリアは行かなかった。
そのくせ食事も喉を通らない。
見兼ねたタカネがZENNの見舞いにニッキーと行き、彼に口添えしてもらってマリアを許してくれるよう頼んだが、気持ちだけで結構と言われたと、しょげて帰ってきていた。
そんな時に、突然の仁からの呼び出しだった。
一緒に呼ばれた永山は別室で待たされ、会議室で、マリアは仁と二人きりになった。
「マリア、忙しい中申し訳ないが、兄とビデオユニットをやってくれないか。」
「えっ? 」
マリアも驚いた。
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