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ZENNとマリアはあの噂通りの関係だったというのか。
麗華にはあざとさが鼻につく男だが、ZENNにしてみれば気の合う目下だからとマリアを離さなかったのではないのか。
ギルティーの起死回生の切り札だからと、話題作りにべたべたしていたのではないのか。
「そんな…」
二人を嫌悪するとか非難するとかいう気持ちは起こらず、麗華はどうしてか痛ましさのようなものしか感じられなかった。
(あのまなざしは、あの激しさも優しさもすべて嘘だったというのか。)
タクシーの中でZENNは唇を噛み締めていた。
あのマリアが、ここまで売れても自分の言うことをきくのは確かにおかしいと思ってはいたのだ。
それが…四年間も愛を育んでいた彼女がいたとは。
もちろん、グルーピーだのつまみ食いだのの噂は聞こえていたし、ある程度目をつぶっていたつもりだった。
しかし、一人の女と長く続いていたというのは初耳だった。
それも結婚まで考える相手とは。カモフラージュなら、とっくに彼女を自分に紹介してくれているだろう。
そのように相談してくれているだろう。
つまりは、どう考えても馬鹿を見たのは自分だったのだ。ZENNは自分が惨めで仕方がなかった。
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