第9章  魔法

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 …あなたの抱えているアーティスト、マリアは、身の回りの世話をさせるといって、父親の隠し子、つまりマリアには異母妹にあたる加藤由真という少女を勝手に連れていってしまった。  最近、彼女の母、加藤エリ子は病気のため働くこともできず娘に仕送りを頼んだところ、自分も給料をもらっているわけでもないので何も援助できないと断られた。  エリ子の親友である私・山田美幸は、彼女の代理として、由真に給料を払うよう、また父・佐伯健介氏の遺産を由真にも分けるようマリアを説得していただきたく、ZENN社長にお願いする…  手紙には写真が二枚添えられていた。  一枚は高校の入学記念なのか由真なのだろう、制服姿の少女と母親らしい女性。  もう一枚は年代物で、驚いたことに打ち上げの帰り風のグッドストックのメンバー三人と女の子が四人写っていた。  由真というのは、マリアの同棲相手のはずである。  ZENNにはわからなくなった。  いったい由真とは何者なのか。  妹ならばそう世間に紹介したほうが、自分の手前もいいのではないのか。  どうしてマリアは恋人と言い張るのか。  カモフラージュのためか。
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