第9章  魔法

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 家に帰るとまだ由真は起きていた。マリアは黙って、例の手紙を差し出した。 「ZENNさんあてじゃない、どうしたの、この手紙。」 「いいから読めよ。」 読んだ由真も真っ青になったが、すぐに、 「アイツ、金がほしいのよ。この前断ったからって…」 「断った? 」 「どこで調べたのか、ここに押しかけてきたの。病気なんかじゃなかったわ。で、余裕があるならお金、貸してほしいって…でも、アイツのはだらしがないだけだもの。お情けでこの山田って人の店に雇われてるぐらいだもの。それが、マリアの稼いだお金を借りたいなんて…」 「でも、こんな写真まで見せられると、死んだ親父のことだけに、俺は心配になる。」 「マリア、私もこんなこと初めて聞いたのよ。なによ、自分だって、ミュージシャンに夢中になってたクセに、私には偉そうに…」 「俺の父親のことは話さなかったの? 」 「ロックバンドのことなんて、わかるわけないと思ったもの。」 マリアは両手で顔を覆った。
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