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一人、取り残された私は、ただ、外の景色を眺めるだけ。
「お客様、これを」
声をかけられ、我にかえる。
入口で、うやうやしく、頭を下げた初老の男性が
私の足元に箱を置いた。
「へ?これは?」
「社長からです」
ひざまずき、箱を開ける。
中から靴を取り出して、置き、一礼して去って行こうとするから、呼び止める。
「あのっ、靴なんて、もらえません」
今日のドレスに合う、パステルカラーのピンク。
ヒールも
低くてこれなら帰れそう…
だけど…
見ず知らずの人から
もらうなんて…
「社長から言われてるのです。
気に入らなかったら、捨ててください」
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