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黒い髪は見る見るピンク色に変化していった。
「始まったぞ。ガスの用意もしておいてくれ」
ジグが指示を出す。
「うぐっ」
これまで、全く動きもなく、言葉も発しなかったミルが、小さく唸った。
そして、意識を取り戻したかのように、体をしきりに動かそうとしている。
それは、痙攣の類ではなく、明らかに意思の元“動かしている”ように見受けられる。
全身がピンク色に光っている女性を見つめてジグは口を開く。
「メキシコサラマンダーは、 ほぼ人型で形成されるな・・・
美しささえ感じる。問題はここからだ・・・」
『ここは・・・どこなの?』
ミルが小さく呟いた。
監視室の全員が、驚きの表情を見せる。
『博士!』
「おぉ!言葉を発した!
自我を保っているかもしれない!」
これまで数十体の被験者で“人体実験”を行ってきて、初めて言葉を発したのだ。
ジグはこれまでの曇った表情から、歓喜の声を上げ、生気を取り戻した表情になる。
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