第1章

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指名のお客様を担当し、無事にお帰しすると、 リューマと美奈さんの所に合流するために帰り支度を始めた。 バックルームにいると、相川さんが入ってきて 声のトーン高めにして話かけてきた。 「須田さん、今度、店長と私と本橋夫妻で、パワースポット巡りの日帰り旅行に行かない?」 相川さんは目をキラキラさせて声を弾ませている。 「パワースポット巡り?」 「仕事運とか恋愛運を上げるパワースポット巡り。最近テレビとかでも取り上げられてる場所に行ってみたくてー」 私もそうゆうスピルチュアルな事は好きだけど…… なんでそのメンバーなの? 相川さんがリューマにベタベタするんじゃないかって警戒心が……。 「リューマのスケジュール見て、都合がある日があればいいけど」 「リューマさん、忙しそうだけど、たまには息抜きする機会があってもいいんじゃない? 神社で子宝祈願もするのもいいかもね」 相川さんがニヤリとしながら嬉しそうに私を見る。 子宝……。 カア!っと顔が熱くなって、無意味にアタフタしてしまう。 「子供はまだ今のところは作らないの」 「え? どうして?」 相川さんは一瞬キョトンとすると、すぐに好奇な目で私を見た。 「リューマさんの子だったら絶対可愛いのに!」 「まだ、仕事を安定させなきゃいけないから……」 あーもう、プライベートの事は触れないでほしい。 「私、そろそろ行かなくちゃ」 バックを抱えて、バックルームを出ようとすると 相川さんは 「じゃ、日帰り旅行の事考えておいてね」 と私の肩をポンッと叩いた。 「店長にはもう言ってあるから。火曜日の定休日にね!」 相川さんは強引にそう言うと、ニッコリ微笑みながら手を振った。 四人で行こうなんて……。 やっぱりヨシと付き合ってるのかな。 彼氏がいたらそのメンバーで遊びに行こうなんてしないはず。
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