第1章

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リューマは上半身を露にしたまま ベッドから降りると、そばにいた私を両手を広げて包み込んだ。 何度抱きしめられても ドキドキしてしまうのは常。 リューマ あなたの奥さんになれたなんて 今でも夢だったんじゃないかって 思うくらい幸せで いつでも私に触れていてほしいと 願ってしまう。 「一緒にシャワー浴びる?」 リューマはまだ寝起きの声で耳元で囁く。 つい『うん』と応えてしまいそうになって 頭を横に振る。 「時間ないよ。急いで浴びてきて」 「はーい」 リューマは子供みたいな返事をして私から体を離すと バスルームに入っていった。 今、私はフリーになったリューマの専属スタイリスト&マネージャー的の役割を担っていて、指名のお客さま以外は 常にリューマのマネージャーに徹している。 新婚だからって甘い新婚生活を毎日を過ごしてるわけでもなく ケンカもしたりする。 リューマはマイペースで 芸能界を辞めて結婚してから 気が抜けてしまったかのように 仕事に取り組む意欲が以前より湧いてこないみたいで マネージメントしてあげないと 毎日の仕事内容を把握する事が出来ないでいた。 リューマが会社員になりたいって 始めは言い張って聞かなかったけど リューマみたいな美男子が会社の枠におさまっていては勿体ない。 できるなら俳優に戻って欲しいくらい。 ハリウッドアクション系の映画が大好きで いつかアクションものの映画もチャレンジしたいって言っていたのに……。 中性的な繊細なイメージが強いリューマは アクションもののオファーはなかったみたいで 結局は叶わないまま 俳優を引退してしまった。 『後悔してないの?』 って訊いても『全然』と答えるばかで 吹っ切れている。 リューマは以前マネージャーと関係していて そのマネージャーが、原因不明で自殺をした。 メディアが伝えた内容は マネージャーの夫と、リューマとの泥沼三角関係が原因だったとか。 リューマは私にその詳細を語る事はなかったけど そのスキャンダルで芸能界を辞める決意をしたのは事実で リューマにとって 相当根深いキズとなっているのは知っていた。
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