第1章

7/35
前へ
/35ページ
次へ
私が高校生の頃に一目惚れしたモデルの本橋ルイが 今は私の旦那さま。 そんな幸せを掴めるなんて 本当に夢にも思っていなかった。 「テロリスト? なんで?」 ルイが大きな目をキョトンとさせて私を見た。 「DVDよく観てるでしょ」 「あ、ああ……」 ルイはあくびを噛み殺しながら言葉を続ける。 「ガキの頃に、イスラム国で過激派グループが拉致った人たちを処刑するシーンをネットの映像で見てしまってから、その影響で、無差別テロとか、興味持つようになってさ」 「興味持ったの?」 「悪い事してないのに、殺されるなんて無惨だなーって。 なんでそんな運命を背負わなければいけなかったのかなって。 テロリズムはオレに運命を考えさせられる。」 リューマは言いながら眠そうな目を閉じた。 「自分を更正させてくれた人がニューヨークで通り魔に会って殺されたんだ。 愛する人との結婚が間近だったのに」 え……。 リューマをモデルの道にスカウトした人かな? 「運命は変えられても宿命は変えられないって言うじゃん」 「……そうなのかな?」 「神様って幸せの根元だと思ってたけど 残酷な事ばかりするよね」 ゆなさんの事も言ってるのかな? ゆなさんは自殺じゃなかったの? 「あー、ねむ」 私はリューマとこうして一緒になれたのは 宿命……? 運命……? 「芸能界で実力発揮してもさ、いつも孤独だったんだよ、オレ。 ミユキと出会ってから、マスコミに騒がれないでミユキと幸せになりたいと思った」 「芸能人はプライベートがないもんね……」 「オレ、俳優していた時より、今が幸せ。これって運命でしょ?」 「私も運命じゃなかったらルイと引き合わなかったと思う」 「これだけの男女がいるのに1人を選ぶなんて運命に支配されてなかったら叶わないよね」 リューマは目を細めて私を優しい目で見た。 そうだね……。 相思相愛になれるなんて、 奇跡に近い事だよね。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加