第1章

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ルイはやっぱり実力派俳優だった。 演技力を深く分析していたんだ。 だから、モデルとしての表現力も魅せ方もピカイチで、 リューマがコレクションで着た服は 注目を浴びて問い合わせが絶えなくなる。 美奈さんのブランドのメインモデルとして美奈さんに買われている。 ファッション雑誌や、イベントゲストなど、仕事のオファーがそこから繋がっている。 リューマは事務所に所属していた方が、もっとまんべんなく仕事をこなせるハズなんだけど リューマはそれを拒絶する。 ど素人の私がマネージャー兼ヘアメイクを担うのは いつか限界がきてしまうような気がして…… フリーだから、スポンサーと契約にまで持ち込めない事も多々あった。 それでも、リューマは とうぶんの間はフリーでいて、私と一緒にいる時間を優先しようとしてくれる。 でも、24時間ほとんど一緒にいるから 私も余計な焼きもち妬いて、 イライラしちゃうんだよね。 「リューマ、また俳優やったらいいのに」 私は食べ終えたお皿をシンクに運んだ。 ん……。 下腹部に鈍痛がある。 生理、今日くるかもしれない。 「舞台はやってみてもいいかなって思うけどね。 今は与えられた仕事をこなすだけだよ」 「仕事のオファー、徐々に広範囲で増えてるから、リューマも仕事選んでいいんだよ?」 私がそう言うとリューマは頭を横に振った。 「全部ミユキに任せるから」 「……?」 「ミユキにそばにいて欲しい」 甘える声で言い放ったリューマは、哀しげな表情も垣間見せた。 結菜さんを亡くしてしまったトラウマがあるのかな……? 結菜さんはリューマのマネージャーをしていて恋に落ちたらしいから……。 それを思うとチクリと胸を刺すけど、 結菜さんの代わりであろうが何でも、 今唯一、リューマのそばにいられるのは私なんだから それで満足しなきゃ、バチが当たる気がする。 「私の出来る限界まで、リューマのマネージャーは務めるけど リューマも仕事に夢を持って欲しいんだよ」 俳優を辞めて後悔はしてほしくない。 「夢はとっくに叶えたから 今は愛する人とずっと一緒にいたいんだよ……」 リューマは柔らかい笑みを浮かべて 私をふんわり包み込んだ。 いつも…… そう言って私を安心させてほしい。
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