2章 TSしちゃった

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にしても、物々しい部屋だ。 「日本お笑い大全」は届くかと思いきや、身長が縮んだせいで届かなくなった。友人のほうを見ると、温かい目で見つめられていた。助けろよ。 仕方ないので、先ほどの円卓を持ってきて、それを足場にして本棚の上のほうを調査し始めた。 上のほうは、重い本がたくさんあるばかりか、埃っぽいので調査する気力が削がれる。 それでも僕はなんとか調査している。 後ろから視線を感じるが、見るんだったら手伝ってほしい。一生懸命頑張っているという時に、この2人は。 「いやーかわいいですな」 「そうですなー」 ―あんたらはじいさんかっ!! というか和歌のほうがかわいいと思うが… 「鏡がないのが全力で悔やまれるな」 幸助が何か言っているみたいだが、聞き取れなかった。それよりも調査に集中しよう。 本棚の上部を、足場をいちいち降りて動かしながらゆっくりと調査していく。 そのなかで、気になるものを発見した。 「広辞苑」 この大量の辞書の中で唯一の普通の辞書であった。 気になった僕はその辞書を引っ張り出すことにした。 …なかなか取れない。強く挟まっているようだ。 腕に渾身の力を込め、タイミングを持ってしっかりと引っ張る。よし、数mmずつ引き出せてるっ。 すると、数十秒後突然。 広辞苑に働いていた摩擦力がフッと消え去った。 もう少し分かりやすく言うと、あとちょっとのところで僕が焦っていたために、勢いよく広辞苑が本棚から飛び出してきた。 僕は、(僕からは見えていないが)見事な1/4円を描きながら地面に激突しそうになった。 和歌が助けに入ろうとしてくれた。 ここでミソは、「入ろうとした」ことである。 よって、僕は 「痛っ!!!」 コンクリにしたたかに頭を打ち付けた。 「おい、大丈夫か(笑)」 幸助が話しかけてくるが、それ、絶対心配してないよな。 「私、もう駄目…」 「おーい、未来がおかしくなったぞ「冗談です許してください!」はいはい」 わ…いや僕、あの転落でよく痛いだけで済んだな、 惨状になってた可能性もあるぞ…
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