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僕はその手錠を観察した。
警察の持っているものはドラマでしか見たことがないが、それよりもちゃちな作りに思える。ただし、中学生1人を拘束するのには十分な強度だった。
僕は、無謀だとは思ったが、手錠を引っ張ってみた。
その結果、淡い希望も消し飛んで行った。
そして、結構な大音量でガチャガチャいわせていたせいか、友人2人が起きた。
「ああ…ってここどこだ?」
第一声を放ったのは幸助の方。
「んん…もうちょっとぉ…」
こんなことを言っているのは和歌。朝には弱いと見えた。
幸助は10秒のタイムラグを経て、僕を部屋に発見し、
「ん?おお、未来」
と話しかけてきたので、
「幸助、おはよう。早速だが、今の状況はセルフで確認してくれ」
幸助は今まで部屋の中を見るのに上方向に向けていた視線を下に落とした。そして、
「…何故に?」
としきりに首をかしげていた。
5分後、幸助が首を疲れさせて休憩を始めた頃に、ようやく和歌が起きた。
「うんにゃ?ここどこ?」
とかわいらしい台詞とともに部屋を見回す和歌。
そして、隣の幸助を視界に入れ、
「こっこっ幸助か!ここどこだ?」
と変に噛んだ。
「俺らにもサッパリ分からん」
幸助は和歌に簡潔に現在状況を教えた。いや、情報量は限りなく少ないけれど。
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