第1章  はじまりの音

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 一つ年上の高橋先輩は、学校一のモテ男だ。 特に成績優秀とういうわけでも、 スポーツ万能というわけでもない先輩だが、 顔が無駄に良いのだ。 そんな先輩に先日、 今流行りの”壁ドン”をくらった俺は、 あれは一体なんだったのかとグルグル考え込んでいる。 いくら同じ部活の後輩とはいえ、 部活には滅多に顔を出さない先輩とは、 ほとんど話した事もない。 一体全体、 何がどうしてそうなったんだ!?といくら考えても答えは出ない。 「あぁ・・・まったくほんとにあの人は、 何を考えているんだか」 放課後、部室の窓から見えた先輩を見つめながら呟く。 手にしていた筆から淡い水色が床に垂れたのにも気づかず、俺は先輩を見ていたのだった。
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