第1章  はじまりの音

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「あーもう!なんで教室こんな遠いんだよ!」 エレベーターなんでものは無いので、3階の一番奥にある2年E組の教室を目指す。 特別脚力があるわけじゃないので、案の定すぐにバテた。 「もうっ・・・無理っ・・・」 3階までは既に上った。教室までは廊下を走るだけだ。 しかしもう走れそうにない。 廊下には数人の生徒がいるだけで、ほとんどの生徒が既に自分の席に座っている。 「荒木、そこに立ったままでいるとお前は遅刻確定だぞ」 頭上から、渋いおっさんの声がする。 振り返るとそこにはめんどくさそうに欠伸をしながら担任の香坂が立っていた。 「あっ、先生」 「朝から追いかけっこでもしたのかお前。随分息切れてるじゃないか」 「いや、ちょっと野暮用というか。あはは」 「まぁ、なんでもいいけどさ。で、俺はもう行くがお前は遅刻でいいのか?」 「急いで歩きます」 「おう。さっさと歩け若者」
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