第1章  はじまりの音

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   ヨレヨレのTシャツにジーパンという高校教師としてどうなんだその格好!!と言いたくなる服に身を包んだ香坂という男は、38歳にしてバツ2という、これまたどうなんだと言いたくなる経歴の持ち主だ。 「早く歩かんと追い越すぞー」 「はい!歩きます!歩きますから!」 早く歩け若者ー!と叫びながらニヤケ顔で後を着いてくる担任は、担任という肩書がなければただの変態親父にしか見えない。 「荒木?お前なに香ちゃんせんせーと朝から遊んでんの?早く来いよー」 「お前が俺を置いて行ったんだろうがー!!」 教室の窓から顔を出した近藤が、笑いながら告げる。 なんとか教室にたどり着いた俺は、お前覚えてろよと念を込めつつ近藤を睨み、教室の廊下側、一番後ろの席へと座った。
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