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「秀二の、好きな人って、」 ――『本当に、大事なんだ。傷つけたいわけがない』 俺のために傷付いて? 俺だけを想って? 俺のためだけに泣いて? 「ん?」 すべての感情を誤魔化すように俺は一番“隠しきれない”感情を表に出した。 勝手に口角が上がる。 ――『本当に、大事なんだ。傷つけたいわけがない』 本当に傷つけたいわけじゃないんだ。 なのに、 俺に傷つけられ、俺で感情を揺さぶられる朋に、どうしても扇情的な気分にさせられる。 「なんでもない」 もっと、 もっと、 俺を感じて? 俺で傷付いて? 「そう」 諦めたフリして誤魔化して傷付いている朋は、 あぁ、なんて愚かで可愛くて、愛おしいんだろう。
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