Ⅱ.

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 アキとセフィネリアの指が高らかに鳴り、ロキの最後の一声が空を裂く。  魔法陣が目を開けていられないほどの光を放つ中、セフィネリアの凛とした声が終結を命じる。 『閉じられた螺旋に封じられし力よ。我に従い、屈服せよ!』  最後のあがきを見せるかのように、風の塊が陣の中から噴き出す。  思わず腕で顔をかばったアキの耳に、ポンッという爆発音が届いた。  体が宙に浮くほど強かった風が凪いでいく。  風が完全に凪いでから、アキはそろそろと目を開けた。  ロキも同じような反応をしている。  一人セフィネリアだけが悠然と歩を進めていた。 「ど~やらなんとかできたみたいだな」  陣が掻き消えた漆黒の床の上に、ガラス瓶が一つ落ちていた。  香水瓶のように優美なカットが施された中に赤、青、琥珀、三色の光がフワフワ舞っている。  それを優雅な手つきで取り上げたセフィネリアは、香水瓶を眼前にかざすと満足げに微笑んだ。 「三元素封入瓶っ!!」 「そのネーミングはないんじゃない?」  その場に座り込みながらアキはささやかな反論を口にする。  だがセフィネリアは鼻歌を歌いながらその文句を聞き流した。 「あ~やっと苦労が報われたって感じだぜ~」 「もう二度とこんな実験はごめんです~」  倒れ込むようにその場にくず折れたロキが小さく呟く。 「そもそも、相反する性質を持ち合う四大元素のうち三つを同じ空間に封じ込めようっていう発想自体が間違ってるんですよ~」 「いいじゃねぇか。結局できたんだしよ」  セフィネリアの言葉にロキはがっくり首を落とした。  そんなロキにアキは同情する。
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