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その夜、巴からメールがあった。
巴は、一人で感情を押し殺している俺に気づいていたらしい。
『気に障ったのなら、ごめん。』
その一文から始まったなかなかの長文のメールには、
たくさんのお詫びと反省の言葉が並べられていた。
それを見て、俺はいつのまにかニマニマと笑っていた。
どうやら嫌われたくないと思っていたのは俺だけじゃなかったらしい。
怒っていたのより何倍もの嬉しかった。
一人リビングでニマニマする俺を類や怜たちは不思議そうに見ていたが、
俺のニマニマは止められなかった。
その機嫌の変わりようは他人から見ても分かりやすかったらしく、
ついに怜が俺に声をかけてきた。
「ねえねえ、さっきから何ニコニコしてるの?」
だから俺はそのままの顔で、怜に言った。
「怜さん、怜さん、聞いてくださいよ。
俺の、俺のですね、巴がNYから帰ってきたんです!
今日久しぶりに…」
「ちょっと、ちょっと待って」
怜が顔を蒼白にさせて、俺に待ったをかけた。
いつのまにか類もこちらを凝視していた。
勢いを削がれた俺は口を尖らせてジッと怜の言葉を待った。
「俺の…ナニ?」
「俺の…友達? お兄ちゃん?幼馴染…って関係ですけど」
するとドスのきいた声で怜は言った。
「ビックリさせんなよ、テメー」
れ、怜さん、口悪い…
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