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「これ、でも、こんなの酷いよっ。伊瀬くんはなにもしてないのに。」
「あぁ。」
「一体なんでこんなことっ!」
「あぁ、ありがとな。工藤。でも、俺そんな繊細なやつじゃないから。」
「伊瀬くん、......。」
悲しげな声色に、不満そうな口調。
「ほら、もう授業始まってるぞ。俺のことはいいから教室戻って授業受けろよ。俺も後から戻るし。」
「でもっ。」
「いいから、行けよ。」
「っ、」
優しげな声に、有無を言わさない雰囲気。
俺の方まで伝わってきたそれに気圧されたのか、工藤さんは、一つ挨拶を返すと、パタパタと今来た道へと走っていく。徐々に聞こえなくなる足音に、
......なんか、可哀想だ。
勝手にそんなことを思う。
伊瀬が女の子相手にあんな態度をとるなんて、意外も意外だ。全然想像できない。
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