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「あ、悪い。」
「え、......いや。」
なんだかばつの悪そうな表情をつくり、目を逸らした彼に、こちらが悪いことをしたような気分になる。たまらず、顔を伏せた。
俺はただ、手を振り払っただけなのに。
そう心のなかで思いつつも、それだけではないと思う、俺もいて。
「えっと......。」
なにかを話さなければという使命感に駆られて、口を開く。
大嫌いなやつと二人きり。そんな状況で出てきたのは、なんの意味ももたないただの音。
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