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「あ、あっと。い、伊瀬の髪って、すげぇふわふわだよな。俺、男でそんな綺麗な髪してるやつ見たことなくて......。」
どこか、温かい気持ちのまま思ったことを口に出す。
と。
俺の言った言葉のなかに、なにか笑う要素があったのか。
伊瀬は、その顔を崩し、酷く楽しげに唇を歪めた。
「お前、それ。普通男に、髪が綺麗なんて言うか?」
「え、いや、だって。ほんとのことだし。そこら辺にいる女の子より全然綺麗なんじゃない? 伊瀬の髪。」
「それは俺、褒められてんのか。」
「ほめてるよー。」
ため息混じりに放たれたその言葉に少しの笑いを感じて、自然と頬が緩む。
伊瀬と話すの楽しいかも、なんて。
心の片隅でぼんやりと思った瞬間。
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