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「かつらぎぃぃぃもう一件行くぞぉおおお」
『アホか』
案の定、高津は酔っ払いやがって現在私の肩に掴まりフラフラになって千鳥足で歩いている。
今日はいつになく絡んでくるから嫌な予感はしていたけど、ここまで酔っ払う高津を見るのは久しぶりだ。面倒臭いからこの場に放置して知らないふりして帰りたいなぁなんて思うけど同期の馴染みでそんなことできるはずもない。
「かつらぎぃぃ」
『はいはい』
「俺さぁ彼女とさぁ」
『あぁ梨恵ちゃんだっけ?高津には勿体ないくらい美人の彼女でしょ?何うまくいってんの?』
「別れたぁぁぁ」
『え、まじで?』
それは御愁傷様だ。
ついこの間、可愛い彼女ができたなんだと浮かれていたのにもう別れたのか。
まぁ落ち込むなよと言うと千鳥足の高津の足が更にフラフラになった。
もう面倒なのでタクシーに乗せるか。これ以上フラフラにでもなられたらいくら私であってもコイツを1人で運べるわけないし。
『すみません運転手さん、此処に書いてある住所にお願いします』
運良く通り掛かったタクシーを止めて高津を後部座席に寝かせると、メモの切れ端に高津の家の住所を素早く書き、そのメモを運転手さんに渡した。
『寝ゲロなんかしたときは料金倍にしてコイツの財布から抜いていいんで』
「えっお客さんは乗らないの?」
『私んちすぐ近くだしコイツんちとは逆なので歩いて帰ります』
おいおいまじかよお前と言いたそうな運転手さんにお願いしますと言ってドアが閉まったのを確認すると、私は自宅へと歩いた。
『コンビニでも行くか』
飲み足りないから安いワインでも買って一人で飲もう。明日も仕事だけど。
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