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21世紀末、世界最後の核兵器が廃棄された。長年の日本の核兵器廃絶運動がついに結実し、まずアメリカ合衆国が保有する核兵器の段階的な廃棄を宣言した。
国際連合は日本の運動に全面的な支援を提供、ロシア、英国、フランスが続けて核兵器の放棄の意志を表明した。
最初は渋っていた中華人民共和国も、日本の粘り強い国連に対するロビー活動によって、国際世論の圧力に抵抗できなくなった。
日本は毎年のように北京や上海などの中国の大都市にキャンペーンのための代表団を送り、核兵器廃絶を訴えた。
ついに中国政府もその要求を受け入れ、北朝鮮が同時に核兵器を全て廃棄する事を条件に、国連に対して核兵器の放棄を申し出た。
日本は北朝鮮に対して、莫大な経済援助と引き換えに核兵器放棄を要求。国際社会における唯一の後ろ盾である中国政府の圧力には抗しきれず、北朝鮮政府は経済援助の大幅な増額を条件に、しぶしぶ同意した。
インドとパキスタンでは、既に経済が世界第4位と第8位に上昇していた事もあり、カシミール地方領有権問題の重要性が低下していた。
国際社会からの経済制裁の可能性を怖れた両国は、極秘に二国間の軍縮交渉を進め、広島原爆投下の日である8月6日に、同時に核兵器の全面的廃棄を世界に向けて宣言した。
アメリカは経済制裁の全面解除を餌としてちらつかせてイランに同様の宣言を出すよう迫った。
イランの大統領は、もともと核兵器開発の意図はなく、同国の原子力開発はあくまで原子力発電などの平和利用のためであ、アメリカの要求は言いがかり以外の何物でもないと、従来通りの主張を繰り返した。
それを見たロシアが、イランにロシア製の原子力発電プラントを格安で提供すると表明。核燃料の製造、管理を全てロシアに任せるという条件を、イラン政府は表向きは、嫌々ながらという態度で、受け入れた。
核兵器を保有しているという事実そのものを認めていなかったイスラエルが最後の難題と思われた。
しかし、イスラエルの最大の後ろ盾であるアメリカが、代替手段の軍事援助を行う用意があるとイスラエルに対して表明。意外な事に、イスラエルはあっさりと核兵器の廃棄を国連に申し出た。
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