食欲の秋

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溢れる秋刀魚に浮かれた マツタケと穴から出てく 胃袋の中で秋ナスが群れ 林檎との誓約に手が竦む 先行く里芋に取りつかれ 戻り鰹の名前を口走った 多分イワシの仕業だろう 納得した心では無花果も 秋鮭の値段を悩んでいた 伝えられた新ソバからは カボチャの種が見つかり 犠牲になった銀杏からも 栗を黄色が電波に乗せる 毒づく喉に梨を突っ込み さつまいもに泥を塗ると 腐りかけた柿で立ち往生 いつしかブドウが終わり えのきが姿勢を崩しつつ エリンギと固まっていた 痩せたカブを追い払って 実山椒の子守唄を聞くと ぶら下がったしいたけは ワインとシメジを引いた 長いじゃがいもを餌食に チンゲン菜が使徒を呼ぶ なめこが道を切り開くと 人参の性別を枯らしてた 切り裂かれた舞茸の姿が マッシュルームに重なる 全ては新米が描いた世界
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