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「戦闘中に敵の流れ弾で死んだのではないとすれば…」
総監は口を閉ざした。
「み、味方から撃たれた…そして、撃ったのは…あの時、同じ部隊にいた俺達のうちの誰か…まさか…」
山部はさすがにそれはないとばかりに口元を歪ませる。
公式の発表では中川の死は敵の歩兵連隊に味方の普通科が押され、高射部隊の間際で戦闘となり、その時の流れ弾で高射部隊の2小隊に所属していた中川智宏士長が戦死したとなっている。
「私とてまさか…であって欲しい。だが、この資料が事実である以上、調査する必要がある。これは防衛省から直接君に来た命令なのだ。」
裏切り者の存在を信じていないと言うより自分の立場を心配していることが見え見えの態度の総監は再び、自分の机に戻り、威容をただし言葉を発した。
「高射特科隊、2等陸曹山部生眞!中川士長の戦死について再調査せよ!!」
物語はこうして幕を開けた…
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