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『課外授業事件』
それが果たしてどのような事件だったのか、まずはそれを語らなくてはならない。
事件が起きたのは、一年前の九月一日。
事件の舞台は、とある進学校の旧校舎。
その日は始業式の後、計三クラスの特進学級が旧校舎に集まり合同で特別授業を行う予定だった。
生徒も、教員も、知る由など無かった。
まさかその旧校舎に、思いもよらぬ『先客』が居たことなど。
海外のマフィアとの商談に失敗した暴力団は、連日続く敗色濃厚の抗争から逃れるように、現在は使われていない『筈だった』旧校舎に身を潜めていたのだ。
『たまたま』本校舎の講堂が使用出来なかった事で、旧校舎を利用しようという結論に至らなければ、流れる血はもっと少なかったことだろう。
数時間後、その旧校舎の様相は紛れも無く……『地獄絵図』。
特進学級の生徒、九十四名。
特進学級の教員、三名。
暴力団構成員、七名。
マフィアの工作員、四名。
生存者数──『0名』。
百八名全員が、遺体となって発見された。
マフィアと暴力団の抗争に巻き込まれてしまった、余りにも惨たらしすぎる事件の結末は、両組織の共倒れという歯痒い形で終息した。
──これが、後に『課外授業事件』と名付けられた事件の全容だ。
そして……世間の人々は、まさか想像も出来ていないだろう。
この事件の裏側で密かに、日本警察が『真実をねじ曲げていた』などとは──
「『この事件には、生存者が存在する』」
【続く】
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