第1章

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その話を新人はにわかに信じられなかった。清掃員にからかわれたと思った。 「ハハッ、また~!そんな、うそでしょ。おじさん僕をからかって」 「本当だよ。見てみるかい?」 そう言っておじさんは腰の鍵をジャラっと見せた。その時また扉の向こうからウォーという泣き声が聞こてた。僕は怖くなって、何も言わずその場を後にした。 それからしばらく経ったある日、会社のシステムがダウンしコールセンターにクレームが殺到した。日本中の人々から。そしてリフレッシュルームにも人が殺到した。そして穴に向かって愚痴を吐いた。 牢屋には皆の不満が充満した。皆の愚痴を食べ過ぎて佐藤さんはパンパンに膨らんだ体で遂に倒れた。 身体中から得体の知れない液体が染み出した。佐藤さんは倒れながらも愚痴を食べた。 そして佐藤さんは絞り出すような声で初めて愚痴をこぼした。 「コノカイシャオレノアツカイヒドクナイ?」 その瞬間、佐藤さんの身体から今迄聞いた愚痴や不満が黄色い液体とともに溢れだした。 その液体は蒸気を発し、空調なとを通って階上に伝わった。仕事中の社員たちはそれを吸い込んだ。 20年分の不満を。皆は感情を抑えきれなくなりクレームの電話に出てぶちまけた。 てめーら全員死にやがれと。かけてくんな!殺すぞ!会社はパニックになった。 新人も愚痴を吸い込んだ。このままでは頭がおかしくなると思い、たまらず穴に愚痴を言いにいった。 穴に向かって愚痴を言おうとした時、後ろから誰かに羽交い締めにされた。 そして首の所に激痛が走った。何か注射されたみたいだ。 そして後ろから押され穴に落ちた。 それから月日が経ち コールセンターに新人が入社した。このコールセンターは皆生き生きと仕事をしていた。 そして先輩にこう言われた。ストレスが溜まったらリフレッシュルームに行ったらいいよ、必ず発散できるから。
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