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「我らをお前と同じ掃除人だと思うな」
男は攻撃的に文也の言葉を斬り捨てた。
「我らは、お前達のような犬には成り下がらない。
我らは、革命を起こすのだ」
その言葉にスッと文也は目を眇める。
だが誰もがそのわずかな変化に気付かない。
「我らはこの決めつけられた宿命を断ち切るのだ」
「……宿命?」
「そうだ」
ほの暗い瞳が文也を見据える。
生気が抜け落ちた、闇を固めた瞳。
その双眸は狂気でギラついていた。
「宿命でないわけがない。
我らは好き好んで掃除人になったわけではないのだから」
その言葉にシン、と胸が冷えた。
今まで自分の胸の中に渦巻いていたものが、ストンと落ち着いて霧散する。
「我らはこの宿命を受け入れはしない。
我らはこの宿命と戦う。だから」
手始めに、敵となるお前達に消えてもらうのだ。
男は静かに言ってスラリと刀を抜いた。
文也がかつて使っていた緋姫(あけひめ)ほどの業物ではない。
だがそれでも名工の逸品なのだろうと分かる優雅な凶器が、文也の鼻先に突き付けられる。
「我らを怨むなよ。
怨むならば、お前を掃除人にした運命を怨むがいい」
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