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「髪がバッサリ短くなったっすよ?」
「ああ。あの長髪は目立ちますからね。
膝下まであると手入れも面倒でしたし」
「あれ?
会うたびに春日様にみつあみにされんのが嫌だったから、切ったんじゃないんすか?」
「嫌なわけないじゃないですか。
春日に触ってもらえるのですから」
「……」
一番変わったのは発言かもしれない。
本当にこの人はあの『血濡れの彼岸花』と呼ばれ同僚にまで恐れられたお方なのだろうか。
「ところで紅祁(こうき)
こいつら一体何なのですか?」
あなたが止めに来なかったということは、殺しても問題はなかったということでしょう? と文也は冷めた視線を屍に向ける。
その発言に紅祁ははたと現実に戻った。
「それっすよ。
文也様、まだ本部に牙剥いてないっすよね?」
「春日がまだ生きていますからね」
暗に春日が死んだら牙を剥くと文也は言い放ったが、そんなことはもとより承知、むしろ文也が事を起こした時にはどこまでも文也についていく心積もりでいる紅祁は、その発言をスルーして確かめたかった事実だけに納得して頷いた。
「俺の情報網にも、本部が文也様に向かって掃除人を動かしたっていう報は引っ掛かってないっすからね。
多分これは反乱分子っすね」
「反乱分子……」
我らはこの宿命を受け入れはしない。
我らはこの宿命と戦う。
だから手始めに、敵となるお前達に消えてもらうのだ。
確かに彼らはそう言っていた。
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