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「……『赤』の人間が、たかがあれごときでやられるとは思いませんが……」
そこまで思ってはっと文也は息をのんだ。
視線が鋭く紅祁を捉える。
「相手はどこまで情報を握っていると思いますか?」
「どこまでって?」
「龍樹君が赤の三番だということを、相手は知っていると思いますか?」
「遠宮龍樹ですか?」
龍樹が赤の三番の名を持つという事実は、リコリスの中でもごくわずかな人間しか知らない。
文也の養女であり、龍樹の幼馴染である綾だって、知らないはずだ。
何の目的があるのか知らないが、龍樹は綾が掃除人になった時から血濡れ名を持たない平の掃除人のふりを続けている。
綾の相方となるために、かなりの無茶を通したという話も、文也は小耳にはさんでいた。
だがいくら平のふりをしていても、綾と平の仕事をこなしていても、彼が赤の三番の名を持っていることに変わりはない。
それに今、彼は追放された文也に代わって白華(しらはな)の任も背負っている。
「相手が一番重点を置いて攻撃するとしたら、彼ですよ」
「……遠宮龍樹の傍には綾様がいらっしゃるんっすよね?」
「今日は平日ですからね。学校に行っていますよ」
つまりほぼ一日中龍樹と行動を共にしているということだ。
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