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「狩ることはあっても狩られるな、という話だった。
まぁ、俺達が狙われる確率は低いだろうがな」
掃除人は己の使命を全うする時、その身を漆黒の仕事服(リコリス)に包む。
だが学生という身分も併せ持つ龍樹と綾が仕事服(リコリス)を纏うのは最後の最後。
単純に考えれば、他の掃除人よりも仕事服(リコリス)を纏っている時間が短い分、敵に狙われる危険性も低いはずだ。
敵もまさか学生が掃除人をやっているとは思うまい。
「とっとと本部の誰かが狩り返せばいい。
……本部にそこまで有能な人間がいた覚えはないが」
一連の思考をそう締めくくった龍樹は、校舎の屋上へ飛び降りた。
屋上に出る階段の屋上に取り残された綾は、急いで龍樹の後を追いながら口を開く。
「いるじゃん。有能な人。
実働部隊(赤色)の人じゃないけど」
その言葉に脳内リストを漁った龍樹は、次の瞬間綾が言っている人物に行きついて眉をひそめた。
「あの引き籠りの花咲ジジイがわざわざ出張ってくるとは思えない」
「花咲ジジイって……
自分のお師匠様のこと、そんな風に言っちゃっていいわけ?
だいたい黒羽(くろう)さんって『ジジイ』って歳じゃないじゃん」
「……お前、外見に騙されてるぞ」
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