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重大な議題を論議していたはずなのに、それが他愛もない会話に変わっていく。
まだ生徒の残る校内を抜けた二人は、いつものように自宅へ向かって歩き始めた。
「騙されてるって?」
「俺が初めて出会った時から、あいつの外見は変わっていない」
「へっ!? ちょっ……まっ……!!
たっちゃんと黒羽さんが初めて会った時って……」
「かれこれ十三年は前じゃないか?」
「黒羽さんって今いくつっ!?」
「知っていたら、あいつにここまでの胡散臭さは、感じていなかっただろうな」
「たっちゃんさえ知らないんだ……」
傍から見れば、ただの高校生の帰宅姿だ。
二人の関係を邪推する人間はいても、二人の職業を疑う人間はいない。
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