Side : T&A

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 だが彼らは二人の前に立ち塞がった。  ザッと目の前に黒が広がる。  道を塞がれた綾と龍樹は、思わず足を止めた。  今二人がいるのは、多くの人が行き交う商店街の雑踏の中だ。  たまたま互いの通り道を塞いでしまうということはざらにある。  だが相手は明確な意志を持って二人の進路を塞いでいた。  彼らが何なのかは、空気よりもその服装で分かる。  一人一人型は違うが、二人の前に立ちはだかった五人は、全員重厚な作りの漆黒の衣服に身を包んでいた。  一人は腰に日本刀を佩いている。  他の人間も、表面上見えないだけで、どこかに必ず武器を隠し持っているはずだ。  仕事服(リコリス)に身を包んだ掃除人。  それ以外に彼らを表す言葉などありはしない。 「……何の真似だ」  凍りついた綾は、言葉を発することができない。  龍樹は自分の正面に立った男を真っ直ぐに見据えると、低い声で問い質した。  押し殺した声音は行き交う人々には聴こえなかっただろう。  だが二人を足止めした一団にははっきりと届いたようだった。
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