第1章

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「はい君、何年生?」 「小学校5年生です」 「じゃあ質問をどうぞ」 「私には悩みがあるのですが聞いてもらえますか?」 「はい、いいですよ。なんでもお答えしますよ、ね市長」 市長はニッコリ笑って言いました。 「はいどうぞ」 女の子は言いました。 「実はわたしのお父さんはかつらなんです」 会場が凍り付きました。 市長は出来る限り冷静を装って言いました。 「なるほど」 「はい。もうバレバレなんです。だってある日いきなり髪が明らかに増えてるんですもん」 「ハハッ…」 「でもお父さんには聞けないんです。カツラかぶった?って」 市長は出来る限り冷静を装って言言いました。 「そうかい。はは。まあそうだね。その気持ちわかるよ・・。ぼくもいきなりそんな事されたら聞けないかな、でも本当にカツラなのかい?ある日急に髪が増えたってこともあ、あるんじゃないかな」 「ありえません!しかも、サイズが小さいから後ろの方なんて隠れてないんですよ!隠しきれてないんです!お父さん少しずぼらなとこがあって・・」 「あ、そ、そう」 「でもうちのお父さんとっても気が小さくて傷つきやすいから言えないんです!このままじゃ家族みんな気を使ってこっちがはげちゃいそうなんです!」 「そ・そううかい。そ、それは困ったね。はは」 「笑い事じゃないんです!バレバレのカツラかぶられている身にもなって下さい!」 「あ、そう、ごごめんね」 「こういったらお父さんに悪いけど本当に本当に迷惑なんです。カツラの人って周りの迷惑考えないんですか?本当にバレてないって思ってるんですか?」 市長は出来る限り冷静を装って言言いました。 「私にはわからないなぁ」
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