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「どうしたらカツラをやめてもらえますか?」
「う・うーん。やめさせる必要はないんじゃ・・」
「やめてほしいんです!あんなバレバレのカツラ、近所の人や友達にも恥ずかしくて、恥ずかしくて」
「お、お父さんの事を恥ずかしいなんて言わないほうがいいと思うな。はは」
「私調べてみたんです」
「調べた?」
「はい。なぜかこの市にはカツラの人が異常に多いんです!きっと何か原因があると思ったんです。なんかみんなでやれば恐くないみたいな事になっているような感じなんです。どうしてこの市にだけこんなにカツラの人が多いのか。何かこの市にカツラを容認させる空気が漂っていると思いました。そして今日その空気の原因がハッキリとわかりました」
市長は落ち着かなくなり席を立ってウロウロし始めました。汗がぼとぼと流れていました。
「私は今日ここに来るまで市長を見たことがありませんでしたが、ここへ来て市長をずっと見ていてハッキリとわかりました」
市長は叫びました。
「止めてくれー!わかった!もうわかった!もういい!俺が悪かった!」
女の子は言いました。
「よくありません!その原因は…」
市長が女の子の声をかき消す様に何か叫びました。
「ぬぁぁぁぁぁあ! むぬぁぁぁふぇぇぐぇぇえ!!!」
でも女の子は喋り続けます。
市長にはもう女の子の声が聞こえていなませんでした。市長の頭の線がプツンと切れました。
「その原因は…市長の政策です。市長の政策は全てが現実を直視しない政策でそれが市民に悪影響を与えて都合の悪い事にはフタをする、そういう感覚が広まって…」
その時、会場から悲鳴の様などよめきが起こりました。見ると市長は自ら頭に手を伸ばしカツラを外していました。女の子はポカーンとそのハゲ頭を見つめました。
「市長カツラだったんですか…」
市長はハッと我に返り言いました。
「政策?政策の事なの?なんだよー、最初に言ってよ~、え?何?私の政策が現実から目をそらしてる?そんな事はない、よーし!未来の有権者の話をじっくり聞かせてもらおうかな」
市長は笑顔でカツラをかぶり直しました。
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