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「それで、貴女は二人を殺したの?」
目の前の女…偽善者の皮を被った悪魔に相違ないが。
「そうよ。まずあたしがやるべき一番の事は、奴等を殺すことだったの。」
「ふう…ん。」
分からないって顔をしないで。
あんたにも、とっくに分かっている事よ。
「ここが始まりなの。あたしはようやく人間らしい事をしたのよ。」
笑うあたしを、女は不可解な眼差しで見ていた。
貴女は、分かっている。
…本当はね。
すべての間違った価値観を捨て、素直になればいいだけの事よ。
あたし、目が開いたの。
この世界には何の価値もないわ。…そのうち、滅びてしまうでしょう。
あたしはその日を待つことにするわ。
【了】
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