第1章

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私と紫苑さんが話していると、ガチャリとドアが開いた。 「おい、紫苑仕事中だ。早く戻れ」 短髪の彼の名は「真山 和樹(マヤマ カズキ)さん」19歳。大学生だ。 紫苑さんと幼なじみだと言っていた。 バイトも一緒なんて仲が良いな。 和樹さんは、スポーツをやっているのか、引き締まった体をしている。 「ごめん、ごめん。カズキ。」 紫苑さんは、慌てて戻っていった。 紫苑さんの後ろ姿を見ながら、「…ったく」と深い溜息をこぼした和樹さん。 私も、そろそろ戻ろうかと立ち上がったところ、振り返った和樹さんは「あ、そうそう」と口を開いた。 「リンちゃん、今週の土曜日出れる?沙羅ちゃんが出れなくなったから、代わりにお願いしたいって言ってて…」 『はい。大丈夫です』 「良かった。それじゃ、よろしくね」 はいとコクリと頷いた。 当然、私には予定などない。いつだって暇だ。 だから今回のように、よく引き受けている。
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