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ゆいは薄紫の地に紫の濃淡で描かれた菖蒲(アヤメ)の柄。帯も浴衣より少し濃い紫色で、全体が紫の濃淡な感じ。
落ち着いた雰囲気がゆいにぴったりでホントきれい。
髪の毛は私が緩いアップにまとめてあげて、浴衣に似合う髪飾りを着けている。
…ああ、部長のユルユルの顔が容易に想像出来るわ。
私は紺地に白一色で描かれた紫陽花模様に深い赤の帯を巻いている。シンプルだけど、気に入ってる。
…成瀬さん…どう思うかな。
そう思いながら襟の部分をキュッと直した。
通りは既に賑わっていて、浴衣を着ている女の子もいっぱいいた。
若い女の子たちの浴衣は自分たちよりずっと華やかで、髪型も凝ってて自分が見劣りした。
…地味かなぁ。
そんな心配をしていると、男の人の馴れ馴れしい声がすぐ側で聞こえた。
「ね、一緒に花火見よ。」
明らかに私たちより年下のなんともチャラそうな二人組だった。
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