磁石

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夏祭りが過ぎて、来週にも8月の連休というこの週、月曜日。 成瀬さんが担当したプロジェクトの成功を知らせる話題で会社全体が盛り上がっていた。 もちろん、それはチーム、会社が一丸となっての成功に他ならないとは思うけれど、そのチームのリーダーであった成瀬さんは一躍、時の人とばかりに、成瀬さんの名前を良く聞くようになった。 それは、 嬉しい半面、私は複雑な思いだった。 前に食堂で話していた若い女の子たちの会話が頭をよぎる。 『成瀬さん、このプロジェクトが成功したら、きっと今以上にモテちゃうよ。』 確か…そんな内容だった。 モテちゃうよね…。そりゃ。 だいたい、口は悪いくせに、顔立ちだけはイケてるんだからタチが悪い。 てか、みんな成瀬さんのこと良く知らないくせに。 ホントは… 口は悪いし、大人のくせに好き嫌いするし、人のこと馬鹿にするし、ろくな男じゃないのよ!? …だから、みんな、近づかない方がいいわよ。 …お願い。 近づかないで。 …成瀬さんの側に 寄らないで。 私はみんなが盛り上がる中、 一人耳を塞ぎたくなっていた。
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