磁石

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そして、ゆいと美月さんの会話の合間に妄想が始まった。 成瀬さんのために料理を作る。 ↓ 成瀬さんが食べる。 ↓ 『美味しいぜ!!』 ↓ キュン。 「…き?…美咲ってば、どうしたの?今の話、聞いてた?」 「…え?…あ、何?ごめん。ボーっとしちゃった。」 …確かに、自分の料理を好きな人に食べてもらって 『おいしい』 その一言がもらえたら、 それは 『好き』 って言われるのと同じくらい嬉しいのかもしれない。 今の妄想上の成瀬さんは そんな笑顔をしてたから。 …やっぱゆいに料理を教えてもらおう。 私が女の子らしいことに挑戦したら みんな笑うかな。 でも、 笑われてもいい。 私に似合わない事でも いつか実現させて さっきの妄想の 本物の『キュン』を味わってみたい。 ゆいの横顔を見つめる。 ゆいは部長を好きになって、 部長に恋をして、 一段とキレイになって、 強くもなった。 ねぇ。 私はキレイになんてならないだろうけど、 これが"恋"なら …私も何かは変われるのかな。
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