磁石

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家族みんなが揃っての夕飯。 母が奮発して用意してくれた柔らかいお肉が卵と一緒に何度も喉を通過した。 「美味しー!!」 「ホント、マジ最高!!」 「ビールがおいしい!」 「ホント、ホント。」 久しぶりの賑(ニギ)やかな食卓を家族みんなが喜んでいた。 我が家は例外のいない酒飲み一家。 私は強くはないけどお酒は好きだった。 長い夕飯を終えて、母と私で後片付け。 洗い物をする私に母が言った。 「やっと、娘が出来たって感じ。家には息子が2人いるんだと思ってたわ。あはは。」 「そりゃ、言い過ぎでしょ。あはは。」 その時、リビングにいたミナミが私に叫ぶ。 「ミサ姉!ケータイ鳴ってるよ!」 「んーー。」 タオルで手の水気を拭き取ってリビングに急ぐ。 …ゆいかな? 携帯を手にして目にした表示に釘づけになる。 "成瀬 シンジ" 携帯を持ったままの私にミナミが言う。 「出ないの?」 言った後に口の両端がつり上がる。 「…出るわよ。…会社の人。」 何とか理由を付けて、私はリビングのドアを開けた。
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