磁石

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…成瀬さんだった。 「…お前、今日も一人?友達いねーのかよ?」 そう言いながらテーブルにコーヒーを2つ置いた。 「はあ?今日は時差なの。お昼くらい一人でゆっくり食べたいのよ。」 「あ、そう。俺も邪魔なわけ?なら、どっか行くけど。」 「ち、違う!…違うわよ。…コーヒー持って来てくれたんでしょ?あり、ありがとう。座って。もう、ご飯…終わるから。」 「…そんなに必死に否定しなくてもいいけど。素直に『一緒に飲みたい』って言ってくれればいいんだけど。」 「はい?」 「あ、お前、今、後ろ振り返らない方がいいぜ。」 成瀬さんがコーヒーカップを鼻の辺りまで上げて顔を隠しながら言った。 「…なんで?」 と、同時に振り向いてしまう。
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