磁石

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私はいろんな気持ちをごちゃ混ぜにしたまま受付カウンターにいた。 結局、あの後、ファンデーションとアイメイクだけは直す羽目になった。 メイクは直せても、ほんのり充血した目だけはどうにも出来ない。 「こんにちは。…あれ?藤森さん、目…赤いよ?」 カウンターに寄ったのは度々来社する顔馴染みの人だった。 「…コンタクトが合わなくって…。でももう大丈夫です。」 …私は裸眼。 「大丈夫ならいいんだけど。…営業部の成瀬さんをお願いします。14時の約束です。」 …こんな時に限って。 「…はい。お待ち下さい。」 私は成瀬さんの内線番号を押した。 仕事。仕事。 『はい。営業、成瀬。』 「受付の藤森です。G社の小西さんがお見えです。14時がお約束とのことですが。」 『…ああ、打ち合わせスペースで待ってもらってくれよ。すぐ行く。』 「はい。承知しました。」 「ただいま参りますので、あちらでお掛けになってお待ち下さい。」 「ありがとうございます。」 来客の小西さんはカウンターを離れた。
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